Metal–silicate partitioning of tungsten from 10 to 50 GPa.

Metal–silicate partitioning of tungsten from 10 to 50 GPa.

G.A. Shofner, A.J. Campbell, L. Danielson, Z. Rahman, & K. Righter Lunar Planet. Sci. XLV, 1267 (2014) url

概要

  • 2021年現在、50 GPaまでWのmetal-silicate 分配を行った実験は、この実験しかない。
  • 26 - 50 GPaの間での実験点は3点。どのようなデータになっているかは不明 (プロシーディングスなので、データがわからない)
  • Wは、Pが上がり、Tが上がると、lithophileになっていく(PとTの効果は、ペリドタイトに対して同程度)。

機械翻訳

Abstract

コア形成の地球化学モデルは、一般的に、地球初期のマグマの海で珪酸塩と金属の間で分配された鉄分を含む元素のコアとマントルの存在量に基づいている。タングステンは中程度の親鉄性元素であり、地球の圧力、温度、組成、酸素富化度の条件や、コア形成の時期に関する制約を与える可能性がある。これまでの実験的研究では、24 GPaまでの圧力はW金属-ケイ酸塩の分配にほとんど影響を与えず、より強い影響を与えるのは温度、組成、fO2であることが示唆されている。
しかし、コア形成モデルでは、金属-ケイ酸塩の平衡圧力がWの実験圧力範囲外で予測されており、パラメータ化されたモデルを外挿する必要がある。そのため、パラメータに制約を与えるためには、Wのより高い圧力の実験データが必要であった。

Experiments

我々は,NASA-JSCの高圧実験室ではマルチアンビルプレス(MAP)を,メリーランド大学(UMD)の鉱物物理学研究所ではレーザー加熱したダイヤモンドアンビルセルを用いて,高温高圧の実験でWの分配挙動を測定した。出発原料は天然かんらん岩と金属粉末の混合物で,MAP実験では約2:1,LHDAC実験では約5:1 wt%の珪酸塩と金属の比率であった。金属はFeとWが約5:1wt%の割合で含まれていた。MAP実験では、COMPRESで標準化された八面体ののキューブを用い、5回の実験をMgOカプセルで、3回の実験をグラファイトカプセルで行った。実験の実行温度は約2400~2700K、圧力は10~26GPaであった。
LHDAC実験では、厚さ約5~8ミクロンのケイ酸塩と金属の混合フォイルを、2つの絶縁性カンラン石層で挟んでいた。圧力の校正はルビーの蛍光灯で行った。温度は、測定した熱放射をプランク放射関数に当てはめて決定した。2回の実験では3800K、3回目の実験では4400 K、圧力は28~50GPaであった。LHDACのサンプルは、NASA-JSCのFEI Quanta 3D FEG集束イオンビーム(FIB)を用いて組成分析のために回収され、厚さ約1ミクロンのサンプルセクションが得られた(図1)。また、回収した試料は、NASA-JSC(Cameca SX-100)とUMD(JEOL JXA-8900R)の電子顕微鏡を用いて分析した。
結果と考察 液体金属/液体ケイ酸塩の分配係数(DW)は、金属相とケイ酸塩相に含まれるWの質量分率を用いて各実験で算出した。実験のfO2は、理想的な溶液を仮定し、共存するケイ酸塩と金属のメルトのFe含有量から決定した。
今回のデータと文献データを用いて,Wの金属-ケイ酸塩分配を重回帰でパラメータ化し,回帰式を得た。 珪酸塩組成パラメータ(fiXi)は,SiO2,Al2O3,CaO,MgOのモル分率であり,金属パラメータXCおよびXSは,CおよびSのモル分率である。回帰係数とその1シグマの不確かさは,a = 1.07 (0.61), b = -1.41 (0.12), c = -2669 (550), d = -83 (11), e [SiO2 = 2. 49 (0.80), Al2O3 = 5.99 (1.63), CaO = -10.4 (1.21), MgO = -3.10 (0.79)], f = 1.78 (0.33), g = -2.75 (0.78) であった。 \(log D (±30) = a + b (ΔIW) + c 1/T + d P/T + e ΣfiXi + fX_C + gX_S\)

この回帰式を用いて、fO2 = -2.3 ΔIW、ケイ酸塩組成項XSiO2 = 0.38、XAl2O3 = 0.02、XCaO = 0.03、XMgO = 0.51、金属組成項XC = 0.009、XS = 0.03としたペリドタイトのリキダス線に沿ってlog DWを計算した。その結果、Wはペリドタイトの液相に沿って圧力が高くなるにつれて、つまりマグマの海が深くなるにつれて、ますますリソフィスになることがわかった。等圧線と等温線に沿って計算することで圧力依存性と温度依存性を分離すると、log DWは0-60 GPaの範囲で約1.4 log unit、2000-4000 Kの範囲で約1.0 log unit変化する。これらの関係は、不確実性の範囲内で、深いマグマの海の可能性のある条件に適用される温度範囲において、圧力依存性と温度依存性がほぼ同等に重要であることを示している。

このパラメタリゼーションと、NiおよびCoに関する文献的なパラメタリゼーションを、地球におけるコア形成の問題に適用し、マグマオーシャンによるシングルステージのコア形成モデルにおいて、ペリドタイトの液相に沿って50 GPaおよび3600 Kの圧力-温度解を決定した。これにより、48-54 GPa、3500-4200 Kの圧力-温度範囲における、地球のコア形成をシングルコアフォーメーションモデルで説明する解の空間が決定された(図2)。また、指数関数的な惑星質量成長率、線形のマントルとコアの密度成長率、均質な降着に基づく連続降着モデルにより、ペリドタイト液相に沿ったマグマオーシャンの最終深度を表す59 GPa、3900 Kの圧力温度解が得られた。

地球におけるコア形成の時期は、Hf-W年代計を用いて制約することができる。この系におけるWの同位体異常の大きさは、コアへのWの分配に直接関係している。本研究のWパラメタリゼーションを用いると、Hf/W比は圧力と深さの増加に伴って大幅に減少すると予測される。原始マントルのHf/W=20は、約53GPa、3800Kのペリドタイトの液相に沿って予測される(図3)。

おわりに 本研究は、W金属-ケイ酸塩分配の実験データの圧力と温度の範囲を拡大し、これまで低い温度のデータから外挿する必要があったモデル予測に、より良い制約を与えた。その結果、金属ケイ酸塩分配に対する温度と圧力の影響は本質的に等しいことがわかった。W, Ni, Coに基づく単段および連続的な降着モデルは、深部マグマオーシャンでの平衡コア形成を示す圧力と温度範囲を示す。